何人かにおススメいただいててずっと観たかった作品がオンライン上映会のお題に上がってようやく。噂に違わぬ名作だった!
邦画だと横道世之介とか佐々木インマイマインのように、かつての友との想い出を辿ったり足跡を訪ねたりするパターン。当時と現在を同じ役者で演じ分ける難しさはあるものの、タイムスリップして没入できる映画というスタイルに打ってつけのテーマで、時代背景を楽しんだり、張り巡らされた伏線を回収したりと面白くないわけがない。
タイトルが「うまくいく」となってて、ネタバレ全開邦題あるあるのこれまた代表作なわけだけれど、これまで何本か観たインド映画はどれも気をてらわない王道なストーリーをなぞるのに確実に面白いのでまったく問題がなかった。うまくいがないはずがないのに、ちゃんとハラハラドキドキさせてくれるし、笑うし泣く。
インドの優秀な大学に通う仲良し3人組、その1人ランチョーは頭脳明晰で性格最高な出来杉くん。けれども弱者に優しく強きをくじく、正義感に溢れた好青年の彼には暗い影があった…
そんな彼の行方を追う現在と、過去のエピソードが交差する。あのとき、あの場所で、彼がいつも唱えていたAll is well(すべてうまくいく)という言葉。
もちろん、唱えりゃいいってもんではなく、根拠もスキルもあってのことなのだけれど、それを生かすも殺すも「うまくいく」という信念だとか熱意といったものが大切であり、だからこそそれを言葉にするという意味を見事にミュージカルに昇華させていた。
ギャグ自体はちょっと滑り気味なものも多々あってご愛嬌、それより何より、ええ話やなぁ!と鑑賞後の満足度の高さがいい。悪人が出てこない、逆張りしない、サービスサービス!こんな映画があるから、それ以外の映画もまた魅力的に映るのかもしれない。
さて、ここでめちゃくちゃ気になったのが、「うまーくいくー」という日本語字幕。監修いとうせいこう、あ!「ガリーボーイ」のときも苦労してはった!笑
結局ミュージカルは言葉と音とダンスの一体感、つまりノリが命なのに、この言葉がまったく音楽に合ってこない。そもそも外国語の歌に日本語訳が合うわけがないのだから、吹き替えでない限り音符に言葉を乗せて字幕にする必要ない。それならいっそ「オールイズウェル」という言葉をおまじないや呪文のように仕立ててしまってよかったんじゃないかと思った。
そのほうがきっとうまく…汗