井出

きっと、うまくいくの井出のネタバレレビュー・内容・結末

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

社会性あるメッセージを軽いタッチで表現するあたりすばらしい。
競争主義の教育とそれを生む社会構造、「カースト制のようだ」というセリフに表れているように、今の教育制度を批判し、社会的成功のあり方に疑問を投げかけている。友の自殺未遂にはインドの社会すべてが見えるよう。
しかも、欲張りなのは学生の自殺率を下げてやろうという、健気すぎる野心。3時間という長い尺からその熱意が察せられる。
なかでももっとも重要なテーマは生と死であり、この映画での死は、実際よりかなり薄められているものの、見る者には強烈すぎるくらいに突きつけられる。楽観的な映画だからこそ、その落差は激しく演出もうますぎ。しかし一方で、仲間の生還や子どもの誕生は本当に嬉しい。この映画に一貫して流れる素直さは最後には見る者を巻き込み、素直に死を悲しみ生を喜ばせ、生と死、善悪、根源的な倫理のようなものを感じさせてくれた。
学長んちにしょんべんかけて退学されそうになったり、急にミュージカルが始まったり、面白すぎる効果音が入ったりとちょー楽しかった。大衆性もあるからこの映画はすごい。作り手の頭のよさにじみでてる。

一番のメッセージは簡単な、子ども騙しのような、深すぎる呪文。重いテーマを軽く扱い、主人公たちはバカ正直にふるまい、楽観的なハッピーエンドで幕を閉じるあたりに表れてるが。結局生きてればうまくいくんだわ。
井出

井出