まさか

ベルリンファイルのまさかのレビュー・感想・評価

ベルリンファイル(2013年製作の映画)
4.0
震えた! 韓国映画には恋愛ものとアクションものに優れた作品が多いが、本作はその両方が高いレベルで融合した名作。国家に裏切られ、巨大な陰謀に巻き込まれながらも、互いに大切な人と一緒に生き抜こうとする男女の壮絶な闘いを描いている。

ハ・ジョンウの孤高の闘い、チョン・ジヒョンの哀しい目、ハン・ソッキュの意地。脚本の素晴らしさと俳優の演技力が溶け合って、虚構であるはずの物語が現実さながらに観る者に迫り、胸を打つ。韓国活劇映画の極北。

南北朝鮮の諜報員、アラブの反体制民族組織、イスラエルのモサドや米CIAなどが複雑に絡んで物語が進行するが、単なるスパイものではない。ましてや凡庸なアクション映画でもない。ベルリンを舞台に、息もつかせぬ緊張感に満ちた迫力と、観ている側にさえ痛みが感じられる迫真の演技が同居するアクションシーンの奇跡。そこに悲劇のラブストーリーが絡み、感情を掻き立てるスケールの大きな物語が完成した。ハリウッドはこの作品を観て学んだほうがいいのではないか。アクションシーンを単なる見せ場に矮小化しない、こんな凄い表現があるということを。

加えて、大切な人を守ろうとする人間の姿をこれほどまでに緊迫感あふれる表現で物語に昇華し得た作品は、そうざらにはないだろう。『友へ、チング』以来のアクション映画の達成と言っても過言ではない。心底震えた!
まさか

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