果たして人間の細胞が入った培養肉はカニバリズムになるのか？
そのような事がテレビで社会問題として取り扱われる近未来の世界で、主人公はセレブや有名人の細胞をマニアへ売る注射技師として登場する。
お世辞にも、とても健康体には見えない主人公『シド』は大人しく業務をこなしつつも、闇マーケットへ細胞を横流しにする違法行為に手を染めていた。
そして彼自身も、究極の美を持つ一人の女優の細胞を己に注入していたが、ある日突然その女優は未知の病に侵され死亡。
未知のウイルスを持つ女優の一部を所持してるどころか、自ら己の体内に取り入れ続けてきたシド。
女優の謎の死をきっかけにシドに幻覚症状が現れ、遂にはその死因を特定するために動き出した謎の組織や陰謀に、主人公シドは巻き込まれていくのであった───。
まさに肉体の共有！
憧れる人の一部を自分自身に取り入れる、これほどの悦びがあるだろうか！と思いました。
禁忌的行為、悪魔的思考だと叱られるでしょう。しかしそれは、耽美な姿で甘い香りを纏い私を、主人公を誘惑する。
死にゆく者からはドス黒いほどの甘い香りがすると言うが、こんなにも魅力溢れる果実を目の前にしてどうやって抗えよう。
そして、終盤の真っ白い部屋で飛び散る赤い血の美しいこと！
キャッチコピーである「あなたのすべてに感染したい」も含め、私自身までもがこの一部になり、虜になってしまうような感覚が堪らない作品です。
