悪魔の毒々クチビル

デビルズ・フォレスト 悪魔の棲む森の悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

4.0
とあるニュージャージーの山奥にキャンプしに行った一家のお話。


今作なんですが、ネタバレ抜きで語ろうとするとかなり言うことが限られちゃうんですよね。
取り敢えず言えるのは、面白かったです、これ。
あと日本版のジャケットが最低。これについては後述します。

内容をもうちょい詳しく言うとですね、主人公一家(パパママ姉弟)がキャンプに行くのですが、実はお父さんは昔この山で悪魔を見たことがあるとか何とか…
そしてそのお父さんが凄い。というか恐い。
家族でのんびりと自然を満喫しようとするも、他の喧しいキャンプ客にあからさまな苛立ちを示し、娘にちょっかい掛けてくる若者には今にも殺さんばかりの形相で睨み付ける。
何て過保護かつ完璧主義なんだと思うも、そもそもお父さんの様子が段々おかしくなっているのです。目も完全にいっちゃってる。
心配する奥さんをよそに「こんな奴らと関わるな!」と更に山奥へ連れて行かれる一家。果たしてこの狂気は父が昔見たという悪魔と関係しているのだろうか。

ってな感じでじわじわと話が進んでいくのですが展開のさせ方が上手く、全然退屈しなかったです。
一体父はどうしてしまったのか。
実は序盤からちょいちょい伏線となる台詞や描写が散りばめられているので、察しの良い方は途中で気が付くかも知れません。俺は完全に忘れていました。

その狂っていく父を演じたスティーブン・モイヤーは大変良かったです。
徐々に狂気に蝕まれてやつれていくその姿は「あれ?撮影中に減量したん?」と思ってしまうほど。
「トゥルー・ブラッド」等、ドラマにいくつか出演していたそうですがあそこら辺は疎いので分からんとです。
映画だと、これまた一風変わったPOVホラー「エヴィデンス-全滅」にも出ていましたね。

基本的にこの一家を演じた役者さん全員、凄くしんどそうな様子がバシバシ伝わってきてgoodでござんした。
彼らの迫真の演技もこれまた退屈さを感じさせなかった要因でしたね。

あとはあまり語れないんだけど、終盤の流れもとてもよろしいんです。
こういうやり方なら全然◯◯な展開が不満にならない。

ただしさっきも述べたように、日本版ジャケット、あれは酷い。
いわゆる「こんな怪物は出て来ないよ」タイプの詐欺ジャケで、正直俺含め散々こういうのに振り回された過去がある人なら一目で「あ、詐欺ジャケだな」って察せると思いますが、まだあまり慣れていない人にはマジで失礼なデザイン。というか全員にか。
一応映っている女性は一家の長女ですし、このシーンというかキャプチャ自体
は本編のものです。周りにあるのが雑い合成ってだけだと思います。
特に本作のような作風の映画でこんな適当な仕事されたら、作品の良さが台無しになるんじゃないですかね。
例えば育毛剤の写真広告で本来の効果だったら温水→ニコラス・ケイジくらいのモノを
小峠→ボーボボとかいう雑な誇張表現しちゃっているくらい訳が分からん。もっと分かり易く言うとこの例えくらい訳が分からない。
ちゃんと本編観てからデザイン考えてもらえませんか。

因みに本来のジャケは何種類かありますが、どれも目付きのイッてるスティーブン・モイヤーをメインにしたどちらかと言うと「シャイニング」とかに近いものです。
まぁ、本来のデザインにしたとこで「やっぱりつまらんわ」って思う人も勿論いると思うんです。しかし逆に余計なウソ情報を与えられないで観ることによって、「成る程こういう作りなのか!」と感心出来る人もきっといるのではと思うし、そもそもインパクト重視なのかは知らんけど本編に存在しないものをデカデカとメインにするやり方は本当に止めて欲しいですね。

あとちょこっと調べてみたらエンドロールの前後どっちだったかド忘れしちゃったけど、ラストのあのシーンは実は海外版のDVDには本編でなく、別エンディングとして映像特典に収録されているものだそうです。
ただ個人的には好きなシーンなのでアレはあって良かったです。

そんな訳で恒例の詐欺ジャケのせいで第一印象から損している本作ですが、個人的にはお気に入りの一作なので興味のある人はあまり前情報入れずに観てもらえればなと思うよ。