このレビューはネタバレを含みます
アテフラのJPR 特集にて。
中年のドラッグクィーンが堕ちていく話。同じテーマのファスビンダー『13回の新月のある年に』のほうが500倍位凄い映画ではあるが、これも悪くないと思う。
オープニングの夜の小隊のシークエンスが幻想的。だれかが呟いた通り、アピチャッポンのトロピカル・マラディのようだった。
この映画にも素敵な夜道の横移動撮影有り!
中盤に主人公と彼氏が森の中の屋敷に迷い込むシークエンスがあるのだが、ここだけ妙に非現実的な異界といった趣があって、そのへんのちぐはぐさが作品の魅力。
因みに森の中での360°パンは完全にストローブ。
ラストの長回し!再び着飾って歌う主人公の顔。カメラが引いていくと塀の上で歌っていることがわかる。カメラが塀の下を映すと、主人公を見上げる喪服の女が人力ストップモーションで直立、更にその奥にスーツ姿で横たわる主人公と彼氏の2つの死体と、葬式の参列者。