クレミ

男として死ぬのクレミのレビュー・感想・評価

男として死ぬ(2009年製作の映画)
3.9
私は生まれる性別を間違えたの!変わるの!みたいな葛藤のLGBTものが多い中、男性としての自分と、女性としての自分との間で揺れ、1人の「人間」として迷い悩んでいくという作品だったために非常に印象的だった。
男か、女かという最後の選択を迫られた時にふと出て来る大切な物たち。それらが出てきて初めて素直に全てを受け入れ始めるトニアと、周囲の人間たち。苦しみながら、迷いながらも最期には「男として死ぬ」姿は美しく、また、トニアとロザリオの愛も暖かく輝く。

「私はあなたの好きな女の子ではなかった、私はあなたが好きなタイプの男ではなかった、だからあなたが好きになった」「死を考えずに済むだけで私には十分だった、だからあなたが好きになった」
「幸せだった、だから好きとは言いたくなかった」
ロザリオの言葉や表情が、じんわりと、後から効いてくる。

作品全体の雰囲気にも、トニア自身にも哀愁を感じました。ゆっくりと噛み締めて味わいながら、ひとつひとつを拾い上げて読み込んでいくタイプの作品。

ギンレイホール、LGBTオールナイト3本立ての2本目。
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