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愛のコリーダのNaDiのレビュー・感想・評価

愛のコリーダ(1976年製作の映画)
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中学生の頃、ミニシアターで「チン切り映画特集」なるものが行われていて、当たり前だけれどその中には「愛のコリーダ」も含まれていた。

丁度「愛のコリーダ」が上映される日、午後に上映される別映画のチケットを買いに来た私はふと「愛のコリーダが観たいけれど、R指定されてるからもう少し大人になるまで待たなきゃいけない」という話をチケット売りの女性にした。

すると彼女は笑った後、ふらっと売り場から出ていき、劇場の扉を開けて「入っていいよ」と言いたげに目配せした(少なくとも私にはそう見えた)。
そのまま彼女は売り場に戻り、売店の商品の補充をし始めた。
私は正解が分からぬまま恐る恐る中に入ると、着席してからほんの数分後、彼女は何も言わず扉を閉めた。

映画を観終わってロビーに出ると、売り場にはあの女性がいた。
次に始まる映画まで30分ほどロビーにいたが、私達は一言も交わさなかった。
ただ私が帰る時に彼女が言った「またおいで」の言葉ほど、次の来訪を歓迎されている気持ちになったことは未だない。
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