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キャンディのemilyのレビュー・感想・評価

キャンディ(1968年製作の映画)
3.5
純粋無垢な女子高生キャンディは自分の性的魅力に気付いておらず、何かにつけて理屈をつけ彼女の体を男どもは狙っていく。彼女は純粋に信じて気が付いたら自分の身をささげているという、爽快かつ支離滅裂エロティックコメディ。

何といってもキャンディ演じるエヴァ・オーリンのとろんとした大きな眼にぷるんとした唇に、高い声が本当に幻想的な魅力を振りまいており、さらには豊満なボディにも釘付けにされる。全編を通してピンクと赤のコントラストのレトロポップな洋服やインテリアの数々がキュートでおしゃれ。そこに純白の白が生える。近未来的な建物、色を操りストーリーの雰囲気を煽る、寄り添う音楽やイメージの切り替えなどスタイリッシュな映像が、意味深に積み重ねられ、無垢な少女を人形のように操り、男どもの性的欲求を満たしていく。

ドタバタ劇と、展開の読めない追っかけっこが時にスリリングに、喜劇に、時に幻想的に、宗教的に、話はどんどん大きく展開していく。男どもの性欲の言い訳を純粋に信じ、嫌がりながらも体は答えてしまうピュアで感度の良いボディを持つキャンディの裏腹な表情。チラリズムや水にぬれるシーンも多いので、直接的なシーンもどこかポップでPV的であり、その馬鹿さ加減に十分楽しめる。どのシークエンスも行きつくところは同じであるが、そこに糸引く宗教的要素と白いドレスで生まれた純粋無垢な少女が、最後にはカラフルなドレスに変身して成長していく。

印象的なシーンも多く、病院内でのドタバタや、ピンクのナース服に囲まれた人の配置や手術の斬新なシーンや、ピアノの鍵盤の音を交差させてのセックスや羽毛の幻想感など、可愛さとエロさ、そこにブラックコメディがしっかり渦巻き、寄り添う音楽がとにかくセンスよく、コメディ感を何倍にも膨らませてくれている。サイケデリックな冒頭の始まりから、しっかり世界観に浸れる2時間を過ごせる。
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