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アンコール!!のLCのレビュー・感想・評価

アンコール!!(2012年製作の映画)
4.3
可愛さに悶える。

ずーっと自分の奥さんにぞっこんな主人公が兎に角可愛過ぎる。
傷ついてほしくない、でもやりたいことはやってほしい、でも心配、守りたい、でもそのせいで話してもらえないのはやだ、でも残りわずかな時間をできれば自分と過ごしてほしい、あああああこんなん悶えるわああああああ不器用かああああああああ。

「あなたを理解できない、生きづらそうだね」と言われてしまう程不器用度が有頂天なのだが、それを理解して寄り添ってくれていた奥さんもきっと悶えた経験があるんじゃないかな。わからんけど。
でも、他の人にはやっぱり理解しづらいのもわかる、たとえ実の息子であったとしても。奥さん以外の人に理解される方法で愛を注ぐことが絶望的に下手。理解していた奥さんが凄い。
だからこそ、合唱団の人たちのあたたかさがじんわりと広がる。あんな人入れたくない、と誰かが言っても不思議ではなかったけれど、歌うなら一緒に歌おうと示すし、去るなら無理に引き止めない。そして今を楽しむことに全力。素敵。

可愛さやあたたかさがきちんと際立つ程の主人公の孤独なのだが、1歩進んだり2歩下がったりして変化していく、物語の進み方からも優しさを感じる。人の変化って、ゆっくりなものだよね。なのに本作90分とちょっとなんですって、全体の尺まで負担が少ない設計になってるんですか、おかげで見終わった時に体力があります。余韻に浸ったり、やっぱり可愛かったよおおおと悶えたり、しみじみと悲しみを味わったりする、そういう体力。歌の先生は本当にお疲れ様です、ハードワークに見えました。

あなたはあなたのままで大丈夫。怖がらずに、誰かと今を楽しめますように。
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