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FEAR X フィアー・エックスのMikiMickleのレビュー・感想・評価

FEAR X フィアー・エックス(2003年製作の映画)
3.7
ニコラス・ウィンディング・レフン監督の2003年の映画。

ショッピングモールで警備員として働くハリー(ジョン・タトゥーロ)

汚職警官とともに妻を何者かに殺された彼は、夜な夜なショッピングモールの防犯カメラ映像を見て、犯人を探していた。
それに意味があるのかと思えるような行為。しかし、執拗に狂信的に。

そんな折、犯人の写真を警察から見せられる。モノクロで、顔も判明しないような写真。その映像を友人から入手し、妻が殺される姿をみるのだが、その時からハリーは幻覚を見るようになる。

自宅前の家に入っていく妻を目撃し、忍び込むと、そこには写真のネガ。女性と子供が映っていた。写真をもとに、ハリーはモンタナ州へと向かい、彼女を探す…
その女性は警官の妻で…

というサスペンス。


雪の降る冷たい空気、グレーの空。
真相の先に待っていたものは…



そして、後半の「赤」の迫力‼
赤・赤・赤‼怒濤の赤‼

その中での映像トリップ。
現実と幻が絡み合い、何が本当なのかわからない不思議な感覚におちいる。
それは、ハリーもわかっていないし、こちらもわからない。不安感がまとわりつく。


この辺りや、ずっと流れる重低音、カメラワーク、台詞の少なさはのちの「オンリーゴッド」を彷彿とさせ、レフン監督の揺るぎなさを感じる。


ジョン・タトゥーロの生気を失った無表情さも良かった。(タトゥーロ出ると、コーエン兄弟の映画のような気がしてしまった。乾いた空気感も。特に前半の雪の感じ。ただし、ユーモア性は皆無。)


ラスト、ちゃぶ台返し、どーーーーん‼‼

強迫観念による精神的崩壊と、
「人は死んだらおしまいだよ」と言われた気がしたラスト。

妻がなぜに殺されたのかを追い求めたハリー。
それに理由などなかったとわかった時のむなしさと虚無感が、彼に妄想を見せさせたのだと思う。

ラスト、妻の死というしがらみに決別したはずのハリーの姿は、言い様のない虚無感に溢れている。
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