ソウキチ

ブリーダーのソウキチのレビュー・感想・評価

ブリーダー(1999年製作の映画)
-
露骨に強調される赤色が、未来を暗示してるようで常に嫌な予感が画面にこびりついている。

オタク設定だけどイケを隠しきれてないマッツ・ミケルセン。デートの時はダサい格好なのに、映画見る時には無意識的にオシャレになっちゃうのが既に面白い。

バイト先のビデオ屋の店長に「お前映画のこと以外に話すことねえのか」って怒られるシーン、身につまされすぎて笑ってしまうわ。

マッツ演じる主人公が主人公なのに脇役で、いてもいなくても同じなんじゃないかってくらいに本筋の話に絡んでこない。中盤では遂に主人公は主人公であることを拒否して逃げ出すんだけど、だからこそのあの着地がじーんとくる。
映画にばっか憧れてずっと物語の脇役だったオタクが、やっと自分の人生の主人公になるラストシーンが逆説的で良い。

自分はレフンの作品だと『ドライヴ』もそうですが、バイオレンスの中に似つかわしくない不器用なロマンチックさが垣間見える作風が好みだとわかりました。
ソウキチ

ソウキチ