しかもそのレッロ・アレーナが、ジョットのフレスコ画(スクロヴェーニ礼拝堂)のなかのユダと重ねられる。ぼくらはその時を超えた重なりを、レッロが買ってきた最新のコンピューターグラフィックの切り絵で見ることになるのだけれど、モニターを前にすべてを操作する子どもこそは、おじさんとよばれる彼が誘拐してきた子どもであり、あろうことか、最後の最後には彼が模写していたジョットの「罪なき幼児の虐殺」(Strage di innocenti) と同じ運命をたどることになる。
それにしても、どうしてこの名作のDVDが手に入りづらいのだろう。日本語版はないし、イタリアでも Kaos II のタイトルで販売されるDVDは絶版。ぼくとしては、ジュゼッペ・ランチの美しい映像を、今一度、ブルーレイで見直したいところ。『カオス』のBDはものすごく美しかったのだから。
PS サブリーナ・フェリッリの歌う猫の歌 Duetto buffo di due gatti はロッシーニ作と言われているけれど、じつは「ロバート・ルーカス・パーサール Robert Lucas de Pearsallというイギリス人の作曲家が、フリードリヒ・ヴァイゼの『Katte-Cavatine猫のカヴァティーナ』という作品をアレンジしたもの」で「そのアレンジの中で、曲の中間部分の8分の6拍子部分はパーサール本人の作曲、最後の早い部分のメロディはロッシーニの歌劇「オテロ」の第2幕の“Rodrigoロドリーゴのアリア”から引用」という形で作られたものとのこと。引用はここから:(https://boosensei.hatenablog.com/entry/duetto-buffo-di-due-gatti-weyse)