QTaka

高瀬舟のQTakaのレビュー・感想・評価

高瀬舟(1988年製作の映画)
4.3
それは、今もどこかにある風景のようでも有り。
今も、そうして暮らしている人々が居るようでも有り。
その吸い込まれるような映像美と、切なく救いようの無い物語。
短くて美しい映画だ。
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たった、45分。
そこに描き出されたのは、江戸の昔の京都の街並み。
そこに息づく人々の暮らし。
湯気が、煙が、人々の暮らしを想起させる。
互いに掛け合う声が、柔らかに包み込む狭い路地。
物語は、人々の暮らしの中に有った。
わずかなあかりの中に有る、心豊かな暮らしの中で、兄弟の悲劇が語られる。
その時間は、高瀬川を下る流れと共に有り、ゆっくりと流れていた。
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映像の美しさは、美しい物語が導くものだった。
それは、原作、森鴎外によるものだろう。
この映画を見たら、是非原作も読みたい。
”青空文庫”で読めるので、オススメです。
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