菩薩

鱒の菩薩のレビュー・感想・評価

(1982年製作の映画)
4.3
フランスの安達祐実ことイザベル・ユペールが出会う男全て狂わせるガールとして無双するお話。家なき子よろしく「同情するなら金をくれ!」と、言ってはいないが、彼女は次から次へと有力者に付き従い、それを乗り換え、養殖場でただ与えられる餌を喰らい続け丸々太った鱒かの如く私服を肥やし、立身出世を重ねていく。ただ優しいのは一応アルコール依存症で病み病みの旦那っちの事は見捨てないってとこで、回遊魚たる鱒かの如く旦那っちと金持ちおっさんとの間を行き来する。けどこの旦那っちはどうやらゲイらしく、おそらく彼女は卵を提供する「メス」としての機能(語弊があったらすまぬ)を強要されないから彼を手放さないだけであり、そして精子を提供する機能を持つ「オス」達に所有されるのでは無く、むしろこのオス達を所有する側の人間として、ヘテロからもホモからも解放された1人のセクシャルなヒューマンとしてライフをサバイブしていく(うぜぇ…)。性への嫌悪感がそうさせるのか、はたまた自己に対する確固たる自信がそうさせるのかは分からないが、確かに人間的に成熟を深めると共に頭髪が短くなっていく安達、オレンジジュースをこぼされたって何一つ怒ることなく、ネグリジェ1枚で颯爽と歩き出す祐美は大変魅力的に思えた。大屋政子の登場に少しばかり年齢層高めの場内は一様にぷっと吹き出していたが、彼女は「セレブ」の象徴としての起用なのだろうか…?「13の首都で3万3000回SEXをした」と語るマダムの話を、果たして俺は人生で何回SEXをしたのだろうか…と指折り数えながら聞き、そして絶望した。家に帰ったらマスをかこうと思います鱒、ありがとうござい鱒。
菩薩

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