shibamike

いろのshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

いろ(1965年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

またしても梅宮辰夫meets羽賀研二という作品で驚きを禁じ得ない😷
梅宮アンナは勃兄ぃのこの頃の演技の呪いにより後年、羽賀研二による苦労を背負うこととなったのでは、という想いが自分の中でまた強くなった。
勃兄ぃ「稀代の悪だっ!」


前回は「ひも」、今回は「いろ」。次回は何でせうね?「こめ」とか「にく」だったらお腹グーペコである🍖
 勃兄ぃは、ハンサム二枚目色男のバーテンダー。お店に来る女性客に片っ端から色目を使って、喰い物(身体とお金)にすることしか考えていない。バーテンダーというよりもポコチンダー。全女性の敵、ひいては我々弱者男性の宿敵みたいなもんですわな。
 昨日、自分が読んだネットの記事で「現代は"時間差一夫多妻制!"」というショッキングな記事があったのだけど、要するに一部のモテる既婚強者男性は離婚しても(離婚しなくても)モテ続けて再婚や不純異性交遊を何度も繰り返すのに対し、モテない独身弱者男性はスーパー銭湯のサウナとかで寝落ちして死にかけるくらいしか楽しみが残されておらず、結局一部の強者男性が時間差こそあるものの長期的に多数の女性に対してツバやらバツをつけ続けることになる、みたいな非情な内容で、その記事を読んで自分は「…今…の…世の中…は…そんな…ことに…なって…いるの?…あれ?…声が…遅れて…聞こえて…くるよ?」と、いっこく堂的に時間差で感想を独りつぶやくより他に仕方ないのであった。

閑話休題。

映画で勃兄ぃはバーテンダーということになってはいるのだけど、現代的に言うと「ホスト」の方がイメージとしては近いやうに思う。歯の浮くような甘ったるい言葉と嘘八百ばかり並べ立てるナンパ野郎なのだけど、二枚目だからかはたまた不思議な魅力があるからか女性客達から信じられないほどモテる(映画だからだよ)。

勃兄ぃの餌食の被害者として二人の女性が本作では映される。
 一人はオールドミスの行員女性。29歳(若ぇじゃねぇか!)でヴァージンだったのを勃兄ぃが喰い散らかす。行員と淫交、あの子の股間に定期預金、惚れた腫れたの不渡り手形(?)。
勃兄ぃの真の狙いはオールドミスのピッカピカの処女膜ではなく、オールドミスのガッポガポの貯金に他ならず、「結婚」という言葉をちらつかせてまんまと大金を騙し取る。結局すぐに勃起兄ぃの嘘はバレて、涙を流すオールドミスから「あんたは人間のクズよ!」(&強烈ビンタ🤚!)をお見舞いされるのだけど、

勃起兄ぃ「あの大金がビンタ一発とクズ呼ばわりで済むんなら安いもんだ♪」

と1ミリも反省しない極道者。
 しかしまぁなんと言うか、かういうふてぇ精神というのは我々弱者男性も多少は見習うべきなのかも知れない気がした。が、どっちかと言うと、弱者男性として生きてきた経験上、女性を騙すことよりかは女性に騙される可能性の方が圧倒的に高いと言わざるを得ず(まぁ弱者だしね)、せいぜいお財布の紐をキツく縛る練習や騙された時のためのビンタの練習などに精を出す方が時間の節約なのかも知れない👛
ばっみけ堂「…あれ?…涙が…自然と…こぼれて…くるよ?」(時間差一人落涙)

もう一人の餌食となった女性が前回同様、今回もヒロインの緑魔子っちゃん。英語で言うとGreen Magic。
 田舎から上京して洋裁学校に通う乙女。勃起兄ぃの甘いマスクと甘い言葉にすっかり参ってしまい、泥沼にハマってしまう。
餌食になって可哀相は可哀相なのだけど、魔子っちゃんサイドにも問題があるというか、勃起兄ぃのこと信じ過ぎやろと思わないでもなく、何とも難しいところであった。
 前回同様、登場時の魔子っちゃんは田舎の純情な乙女だったのに、勃起兄ぃに会ったが最後、気付いたら光の速さで擦れっ枯らしの売春婦に成り下がっているのであった(その変貌期間は実に半月!速すぎっ!)。個人的に今回のハイライトは売春の現行犯で魔子っちゃんが逮捕されてからの一連のシーン。
警察の取調室にて、魔子っちゃんは惚れた勃起兄ぃには迷惑が掛からないやうに自白をするのだけど、売春相手やら勃起兄ぃやらが取調室で押し並べて
「こんな女(魔子っちゃんのこと)知らねぇ」
と冷酷に言い放ち、その事実に大いにショックを受ける。自分は一体何だったんだとパーソナリティクライシスを迎える魔子っちゃん。なかなか興味深いシーンであった。男の欲望と身勝手さというエグい部分(もしくはクソせうもない部分)をモロに引っ被った格好である。
堕ちるところまで堕ちるけど、ラストには吹っ切れてさっぱりした表情の魔子っちゃんで救いがあった。


魔子っちゃんの妹役の女優が非凡な美少女で「あら、美少女😯」と驚いていたところ、若かりし大原麗子その人であった。抜群の透明感に愛嬌のあるおきゃん娘だったらそりゃ人気出ますわな。

新宿とか渋谷で夜に1人でふらついている女性に「お寿司食べに行こっか♪2万円でだう?🤗」と声をかけたら都会の傷ついた堕天使達とお近付きになれる、さういう心に傷持つ哀戦士達のお話のやうな気がしました(?)。


いろ三毛 ホストの一句
「ドンペリで 水炊きしたら 不味さうだ」
(季語:ドンペリ→ホスト→歌舞伎町→怖い→怪談→夏)
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