生々

海がきこえるの生々のネタバレレビュー・内容・結末

海がきこえる(1993年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

誰でも同窓会でつい探してしまう人がいたと思う。この物語のように、離れた後、恋心に気付くとどうにかして再会できないかと思案するような人。

しかし現実は、再会することすらできなかったり、こんな人じゃなかったと一方的に失恋したり、相手にはもう別の相手がいたり。

そんな現実があるなかで、皆の願ういちばんの再会の仕方を見事に表現したのがこの作品だと思う。

一緒に観た方はヒロインの性格が悪くて文句を言いつつ、「何も起こらない映画だね」と言っていた。
だけど起承転結含めて凄くしっかりと作られていると私は思う。1時間15分ほどしかないためエピソードは断片的で物足りない部分はあれど、主人公の目的をヒロインとの恋の成就だとすれば親友の恋心、ヒロインの我儘や田舎者を馬鹿にする態度なども全て映画の曲線に沿っていると思う。ただ、その軸は主人公の心情によるものなのに、主人公の表情や心の描写が少なかったことから、満足感を得られない人がいるのではないかと推測する。
分かりやすく行動やリアクションで心情を表現するドラマや映画に見慣れていると、この映画は退屈だと思う。

ただ、私は好きだ。なぜなら現実では恋心など目に見えないことがほとんどだから。

一度訪れただけで、もう高知大好き。
生々

生々