Haruki

ペトラ・フォン・カントの苦い涙のHarukiのレビュー・感想・評価

4.5
横柄なファッションデザイナーとそのアシスタント、モデル志望の女性の3人が織りなす愛憎関係を描いた心理ドラマ。

繊細でエッジィなストーリー、女優陣の見事な競演、美しい美術セット、光と影が印象的な画面。
すべてがハイレベルでかっこいい。

男性優位社会において同性愛的依存関係を築く女性たちの姿を戯画的に描いているように見える。

ただそれ以上に、共依存、愛と嫉妬、人生における孤独などの感情を普遍的に描き、性別に捉われない物語になっている。

副題の『ある症例』の通り、ペトラの病的なまでの依存や自己愛、孤独感を寓話的に描いている。

マレーネの存在がこの作品にとって非常に重要になっている。
むしろ彼女の視点中心に展開していると言っても過言ではない。

ペトラとカーリンの会話の場にも常にマレーネがいて、彼女の視線•意識が部屋に漂っている。
彼女の打つタイプの音が鳴り響き、否が応でもマレーネの存在が印象づけられる。
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