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悪魔のやからのENDOのレビュー・感想・評価

悪魔のやから(1976年製作の映画)
4.0
西ドイツの文化を切り売りした異形のブラックコメディ。辛辣すぎて当時の文脈を知る観客でも笑えなかったと思う。主人公の売れない作家ラープが愛人を殺し、貧乏な凡人として軽蔑されて終わるかと思いきや、苦労した妻だけ死んで大団円。このキッチュで多動的な会話劇に打ちのめされる。キッチュとは元々ナチスが保守化する中で生まれた「安っぽく、感傷的で、俗悪なるもの」を示す言葉だ。すぐにズボンのジッパーを下ろして出したがる人々。蠅好きの精薄、シュペングラーの怪演。すべては強調された書割の中の人物なんだけどラープのデーモン小暮的メイクと男娼5人集めて鹿爪らしい顔で他人(ゲオルゲ)の詩を朗読する場面はウケる。スポットライトも夕食のタイミングで強制終了。中学生かよ。『ペトラ・フォン・カント〜』ではヘルマンさんが演じていたような抑圧されないとそっぽ向いちゃう下僕を瓶底メガネで拡大された大きな瞳を見開くカルステンセンさんが嬉々として演じていて楽しい。娼婦の復讐も最高。忖度なしのエゴをぶつけられて心がカラカラです。
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