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ミークス・カットオフのCinemanのレビュー・感想・評価

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)
4.0
『ミークス・カットオフ』
ケリー・ライカート監督
2021年公開

【Story】
1845年、広大な砂漠地帯を3家族が徒歩で旅をしている。
ミークという男に道案内させ、家財道具一式を牛に引かせた3台の幌馬車に積み込み、西部のオレゴンカントリーでの暮らしを夢見て砂漠地帯を横切る旅の途中だ。
ところが2週間で横切れる近道を知っているという案内人ミークを雇ったもののすでに5週間歩きっぱなし。
彼らの間でミークに対する不信感が芽生えていた。

川を渡り山を超えほこりだらけの砂漠地帯をひたすら西に向かう途中彼らは一人の先住民と出会います。
ミークは男が野蛮な種族だから殺そうと銃を向けますが一人の女性がミークに銃を向け、殺してはいけないと阻止します。
彼女は先住民に水を与えたり破れた靴を縫ったり好意的に接します。まったく言葉は通じませんが自分たちを先導してくれと彼女は先住民に訴えます。
先住民は黙々と歩くだけです。

このままだと自分たちが先住民の部落に連れて行かれて殺されると不安がる者、先住民を殺すべきだと言う者、彼が岩に描いている絵は仲間に向けた信号だと恐れる者、砂漠のことを知り尽くしている彼についていくべきだと言う者、意見が別れます。
ある日、先住民の男が呪文を唱えてからまっしぐらに歩き始めました。この先は彼らの目的地なのか先住民の部落なのか。

と言ったところでいきなり映画は終わってしまいます。


【Trivia & Topics】
*ケリー・ライカート
現代アメリカの最重要作家と評されている女性監督です。

*実話に基づいています。
本作は西部開拓史時代に実在したスティーブン・ミークの残した記録をもとに映画化されました。

*ひたすら歩くだけです。
西部劇というと派手な打ち合いが描かれますが、この作品は草木も生えないホコリだらけで水もない土地で移動しながら生活することがどれだけ過酷かということを女性ならではの視点で描かれています。
退屈な映画だと感じる人ととても繊細な映画だと感じる人と両極端に分かれる映画です。

*みごとなワイド感。
見渡す限り何もない広大な砂漠地帯を歩く彼らが米粒に見える広角画面に驚きます。

*思考停止映画。
いくつかのエピソードがあるとはいえ全編ただただゆっくり砂漠を横切るだけの映画です。
不思議なことにそれだけの映画なのに退屈しませんでした。
いったいこの映画はぼくたちをどこに連れて行こうとしているのか、結末はどうなるんだろうという好奇心だけでこの淡々とした映画を観続けられたのは監督の力量でしょう。

【5 star rating】
☆☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:見事な作品
☆☆☆☆ :面白い作品
☆☆☆  :平凡な作品
☆☆   :残念な作品
☆    :退屈な作品
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