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恋の渦のodyssのレビュー・感想・評価

恋の渦(2013年製作の映画)
3.0
【ジャンクフードみたいな映画】

もともとは舞台劇だそうです。

同じように舞台劇をもとにした邦画は他にもありますが、この映画、いわゆる下流の若者たちを描いているところに特徴があるのかな、と思いました。

何しろまともに就職している人間が出てこない。最後にちょっと出てきますけど、あれはあくまで外部から来た男ですからね。

みなフリーターか学生で、そのフリーターにしても詐欺に近い仕事をやっている。他方、女のほうも、ネタバレになるから詳細は省きますけど、似たようなものです。

そういう下流の若者たちの男女関係の色々が、彼らのかなり低徘徊趣味的な会話(要するに中味に乏しいってことですね)とともに繰り広げられる。

まあ、面白いと言えば面白いんだけど、意外性には乏しいし(ラストも、まあ途中で見当がつきますしね)、何より彼らの内容に乏しい長々としたおしゃべりに私はやや辟易しました。もう少し簡潔に作れないのかなあ、ということで。

また、もともと舞台劇だったせいで、場所は限定されているのですが、映画ではどうしても室内模様などはリアリティを基盤にして映されるので、その分、舞台なら多分しっかりあったのであろう集中性が損なわれている。おしゃべりが長たらしく思われたのは、そこにも原因があったのかも知れません。舞台と映画は違うことを、勘定に入れてくれないと困ります。

喩えて言うと、おいしくないことはないジャンクフードみたいな感じかな。最初は、まあ悪くないじゃんと思って食べているんですけど、そのうち飽きてくるし、質の低さ(上で言う低徘徊趣味)が気になってくる、ということですね。
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