みちろう

ラストタンゴ・イン・パリのみちろうのレビュー・感想・評価

ラストタンゴ・イン・パリ(1972年製作の映画)
3.9
マーロンブランド主演、ベルナルドベルトルッチ監督作。男女の禁断の関係を過激に描いたせいで色々と問題になったらしい

パリのアパートの一室、中年男性と若い女性の二人は現実から逃れるように自分を忘れて密会にふける。一方徐々に明かされてく二人の抱えるそれぞれの悩み…

思ってたより独特な作りだった。見たままの意味を読み解くことが難しい表現ばかり。音楽、カメラワーク、会話がオシャレで芸術を見せられてる感じがする。その芸術的な表現から意図を見出そうとしたが初見のため単純に見入ってしまって人物の感情の部分はあまり伝わってこなかった。所々「勝手にしやがれ」を思い起こす場面(男女の会話、パリに住むアメリカ人)もあってスタイルが似てるように感じた。

妻に先立たれ悲しみに暮れる男性を演じたブランド。想像以上に変な役柄で心情を汲み取るのが難しい。期待してたカリスマ的な演技は見れなかったけど、フランス語と英語を使い分けたり、ボソボソ喋ったと思えば急に叫び出したりと器用に役作りをこなし、彼にしかできないような強烈な怪演をしていたのは印象に残る。ブランドは撮影の裏側では扱いにくい役者だったらしく、この映画で見せたはちゃめちゃな演技が少なからず彼の実生活の一面にもあったんじゃないかと想像させられ彼に対する見方がちょっと変わってしまった。
ゴッドファーザーと同じ時期に作られたことを思うと老いぼれたマフィアのボス役とのギャップに驚き。劇中の「欲望という名の電車」のオマージュみたいな白のTシャツ姿で髭を剃る場面では若々しい一面も見せてくる。当時40代後半、まさにイケオジや。

もう1人主演のマリアシュナイダーは華やかとは言えない役だが、ファッションからその立ち振る舞いまで全体がキュートで美しいなと思った。かなり攻めたこの役を引き受けたのはすごいしそれなりに難しそうな役をこなしていたあたり実力ありそうなイメージ。ただこの映画のせいなのかあんまり良いキャリアを歩めなかったのが残念。

スタイルが面白い映画だったものの、なんかちょっと変な気分にさせられたから好きまではいかない。ただ、演出と演技は印象に残った。
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