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ラストタンゴ・イン・パリの346のレビュー・感想・評価

ラストタンゴ・イン・パリ(1972年製作の映画)
3.3
難しい。

最近、あれやこれやで話題になってたから観たわけではないけど、否が応でも、意識してしまうし、そうなった時点でこの映画は映画として成立してなくて、勿体無くも感じる。

個人的に映画は、こちら側の俳優、女優に似た風貌の人たちが、こちら側の街に似たスクリーンの向こう側で、本当に生きて暮らしていると思って鑑賞しているので、撮影現場ではどうだったとか裏側の話が本編の物語を飲み込んでしまったら、そのスクリーンの向こう側で葛藤し、泣きわめき、それでも諦めずに生きている人たちに申し訳なく感じてしまって。そう言った意味でこの映画は呪われてしまったと思う。もちろん、その呪いをかけたのは観客でなく。監督と主演男優なんだけど。

スクリーンに映された世界だけを語るなら美しい瞬間はあった。
映画だと感じる、魔法のような時間はあったと思う。だけど、物語が陳腐なのはいただけない。すべてが男の言い訳でできていて、同情をひこうとする感じがして、そこが1番、嫌だった。
本編の良し悪しだけを語りたいけど、あそこまで、あの女優を追い込んでおいて、この物語では失礼な話だ。かといって映画が素晴らしければ、女優を強姦していいわけではない。
結局、女性には敵いませんでしたという物語で終わるにしては、あまりに彼女を傷つけすぎた。


同監督のドリーマーズも終わり方が酷いが、あの映画のほうがまだセックスは描けていたように思う。この映画は、おっさんの孤独なオナニーの果てを観せられただけかもしれない…。
おっさんと呼ぶにはマーロン・ブランドは色気がありすぎるけど。
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