回送ペリカン

水の声を聞くの回送ペリカンのレビュー・感想・評価

水の声を聞く(2013年製作の映画)
2.0
同監督の80〜90年代の作品で映し出されたおおらかで胡散臭くて懐の広い空間も、そして映画の中でくらいそんな場所を夢想する余裕ももはや日本にはないのか、主人公は最後韓国の済州島に行ってしまった。
正直同じ監督が撮ったとは思えない作風の違いで、今までコメディや群像オムニバスの絶妙なバランスで成立していたファジーさが、距離感を詰めたリアリズムの趣の今作では解像度の低さというかありきたりさに映ってしまった。あと基本セリフで進む脚本で、純粋な被写体のエネルギーはあまり感じられなかった。ただ、大阪と多国籍、資本との対決姿勢という大枠の要素は受け継がれていて、済州島のことも知れたのはよかった。けどエンディングの愛燦燦はさすがに月並みすぎていただけなかった。
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