miyu

おとぎ話みたいのmiyuのレビュー・感想・評価

おとぎ話みたい(2014年製作の映画)
3.2
知への欲求なんじゃないかと思った。
それをひらいてくれた存在を神聖化するような。
なにかしら知識や知恵への欲求が眠っている状態で、急にそれを呼び起こされたときにその目覚めの衝撃が目の前にいる人を対象として鮮やかに破裂するような。生まれたての雛が初めて見た物質を親と認識するような。

一方で、しほは、自分が子どもではないことを主張する。
知の所持者がなにもその目の前の人だけではなく、より広い世界にはもっとたくさんいて、そこと比較するとその神聖化していた存在もあくまでそのはしくれ、アマチュアに過ぎないということに気付く。
なのにそこでなぜその人に絶望しないのか。
相対化というものがそこで成立していない。人間的で、良いなと思った。
相対化していないのに、同時に自分自身と先生のことをとてもメタに認知してもいる。大人だ。

知の欲求の根源、雛形(の持ち方)としてとても信頼に値するんじゃないかと思う。
miyu

miyu