このレビューはネタバレを含みます
山戸結希監督の作品はいつもこうなんだけど、飽きない。一番現代人をくすぶるセンスを持っている。自主映画にして「今までに観た事ない映画」だった。
本作は2013年のムージックラボのグランプリ。やはりそうだろうなとは思っていた。おとぎ話の柔らかな音楽が無さすぎる田舎をやさしく包む。彼らや主人公の演技もどこからが意図的な大根芝居なのかが分からない。
またカメラ位置の妙による全体の違和感的な効果や、感情的で感動的なモノローグ、ウザかった音楽との対話も自然に美しく見えてくる。
そして後半には、自分がコンサートで踊るのを横目に悲しみながら歌ったり。可憐な人間たちと共に自力で動こうとする彼女が圧倒的。
「言葉では繋がれないのが愛」と放ってからの展開が特に好きだった。
その上での「おとぎ話みたい」というタイトルがめちゃくちゃ素直だと思う。
ラストがある意味慟哭。