けーはち

最後のマイ・ウェイのけーはちのレビュー・感想・評価

最後のマイ・ウェイ(2012年製作の映画)
3.7
超名曲「マイ・ウェイ」の作曲者であるフランスの人気歌手クロード・フランソワを描く。原題『Cloclo』は彼のあだ名から。

父親がスエズ危機(運河を巡る戦争)で失業。モナコやパリで演奏家として働き、次第に歌手として大成。人気アイドルのフランス・ギャルと浮名を流し、憧れのシナトラに曲を提供するなど栄光を得て、また自分のレーベルを立ち上げ社長としてセルフ・プロデュース、だみ声を生かしてむしろ黒人音楽の要素を積極的に導入して人気を博するなどといった先進性を発揮する。

一方で、母親が賭博狂で金の管理に困ったり、自分よりフランス・ギャルの方が人気になったらブチキレたり天才にありがちな完璧主義、短気、狭量があり、さらに「子だくさんだと所帯じみて見える」と末子の存在をひた隠すなどイメージに病的にこだわる。最期はシャワーを浴びながら壊れた電球を直そうと触って感電死と、特にドラマチックでもないおバカな末路を迎える。

サイコパス一歩手前の偏狭変人でありながら才能と自信に溢れ魅力的なClocloの人物像に、フレンチ・ポップスの数々や言わずもがな「マイ・ウェイ」などの名曲が万華鏡のように彩る良作の音楽(伝記)ドラマ。また60~70'sファッションや髪型に身を固めたフランスの美形俳優たちも見もの。特にフランス・ギャル役のジョセフィーヌ・ジャピが本物に負けず劣らずカワイイのだ。