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殺人の告白のRのネタバレレビュー・内容・結末

殺人の告白(2012年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2012年の韓国の作品。

監督は「悪女/AKUJO」のチョン・ビョンギル。

あらすじ

女性10人が犠牲となった連続殺人事件から15年後、自分が犯人だと名乗りを挙げた謎の男イ・ドゥソク(パク・シフ「君の声を探して アフター・ラブ」)。時効が成立したため、法的には無罪となった彼は自分が犯した殺人事件に関して詳細に記した本を出版するとその衝撃的な内容と甘いルックスが相まって一躍人気者となる。一方、突然の犯人の出現に困惑する事件の担当刑事のヒョング(チョン・ジェヨン「感染家族」)や恨みを抱く事件遺族たちはなんとかドゥソクを捕らえようとするのだが…。

2017年日本で公開された「22年目の告白 私が殺人犯です」のリメイク元。今作、個人的にかなり思い入れがあって、当時は、韓国イケメン俳優を前面に押し出したパッケージに「どうせ、内容は大したことないんだろう!」と舐めて観たらめちゃくちゃ面白くて、今思うと間違いなく韓国映画にハマるきっかけとなった一本。

で、今回久しぶりに観て、やっぱめちゃくちゃ面白かったんだけど…という感じ。

お話はあらすじの通り、概ね日本版と同じような感じでキモである「どんでん返し」もそのまんまなんだけど、相違点としては今作では連続殺人事件から15年後に突然現れた「犯人」とその事件に因縁のある刑事のほかに被害者遺族が登場している。

また、この遺族が結構個性的で事件で娘を殺されて、突然の犯人の出現に怒りに燃える金持ちのおばさんを筆頭に、ボウガンを扱うスナイパー系女子だったり、出所したばかりの小悪党だったり、動物好きおじさんだったり、あとなんかサポートが主の目立たないイケメンがいたりと割りかしキャラが立ってる。

この面々が引っ掻き回すんだけど、特にドゥソクをなんとか誘拐することに成功した後のカーアクションがすごい。救急隊員に扮した遺族たちが乗る救急車とそれを追うSP、そしてその後から追う刑事ヒョングの流れから、救急車のバックドアとSPの車のフロント部分の車上でのアクションがあったり、車から車へ飛び移ってのすったもんだや落ちるの?落ちないの?サスペンス、また終盤でのストレッチャーの使い方など、終盤にももう一回別のカーアクションがあるんだけど、そこもまぁ見応え抜群でアクション演出、特にカーアクションに関してはここだけでも無類に面白い。

また、なんといっても主演で連続殺人の犯人であるドゥソクを演じたパク・シフがまぁ、ハッとするほどのイケメン。きめ細かでまるで人形のような肌艶と塩顔で切長なクールさ、そして一度脱ぐとそこから現れる細マッチョ、まぁー韓国好きのご婦人たちはそれだけで身悶えるわな。

で、そんなドゥソクによるメディア戦略で一気に有名人になっちゃうんだけど、まぁここら辺は当時も思ったけど、本来なら世を震撼させた仮にも法を犯した連続殺人犯がアイドル並みに祭り上げられることの「異常性」がやっぱすごいよなあ。ここに関しては日本人からすると、酒鬼薔薇事件の犯人の手記のあれこれをどうしたって彷彿とさせる。

で、それを経ての「どんでん返し」部分、やっぱ今観てもよく考えたなぁと感心するんだけど、それ以上に驚いたのは今作の結末が日本版と全く異なる点。日本版だと「真犯人」は「あいつ」で、まぁこれに関しては演じた俳優の配役でわかる人なら薄々感づける感じなんだけど、韓国版だと「俺こそが真犯人」と名乗りを挙げたJなる人物こそが本当の犯人となっている。

だから、久しぶりに観て内容を忘れていたのもあるけど、こっちとしてはリメイクと同じく「あぁ、こっちだとこのJはフェイクであの人が犯人なんだよね。」と思って観ていると全然そんな展開になっていかずに最後までいっちゃうのでそういう意味でもめちゃくちゃびっくりした。

まぁ、二転三転するという意味では日本版の方が個人的には好きなんだけど、ただ、ただこの韓国版、真犯人Jを演じたチョン・へギュン(「ぼくの歌が聞こえたら」)が抜群にキモすぎる!!

不気味な仮面を外すと横分けで無駄にサラサラ髪のイケメン風なんだけど、顔はおっさんなのでなんかそのチグハグ感が抜群にキモい。加えて、そのサラサラ髪をサッ!サッ!とかき分ける仕草もキモい!あと言動もいちいちこちら側の神経を逆撫でするようなイラッとする会話口調でウザキモい!とにかくキモすぎるんだけど、もう後半はカレの独壇場!!日本版だとこのJにあたる人物は割とすぐにヤバい!と感じて自身の正体を明かしちゃう根性なしなんだけど、こいつはヒョングに銃を突きつけられてもほとんど動じず、そればかりかニヤニヤ…というかニチャニチャ顔で煽りまくって逆に追い詰める。

そもそもなんでヒョングがこんなに躍起になってるかというと被害者の中に奥さんがいるんだけど、(ちなみに金持ちおばさんの娘さんでもある、つまりヒョングにとっておばさんは義理の母)、その奥さんがこいつにレイプされたのか、赤ちゃんを身籠った状態で殺されてしまったという韓国仕込みの鬼畜仕様の真相まで明かされちゃったから、結局怒りに駆られたヒョングがテレビの生討論中に発砲しちゃって、その混乱に乗じて逃げ出した後もまぁしぶとい!!死に物狂いで追っかけられながら、逃げるバイクを後ろから追突されて落とされた後もヒョングが運転するトラックにしがみついてゴキブリ並みのしぶとさを見せるから小憎たらしい笑!!

だから、結局のところこのJが全部もってっちゃうので、「どんでん返し」が明かされた後、その役目を果たしちゃって、主役であるはずのドゥソクの影がめちゃくちゃ薄くなってしまうのが残念極まりない。ラストトドメを刺すのはヒョングだし、ここら辺は日本版の藤原竜也のほうが最後まで存在感を発揮してたかも。ラストもJを殺したヒョングが出所したのも遺族みんなで記念撮影してめでたしめでたしで終わるんだけど、奥さんがあんな悲惨な最期を遂げていたという後味の悪さが尾を引いて、これでいいんか?という収まりの悪さも少々感じたかな。

という感じで概ね面白かったんだけど、改めてリメイクの方が上手くいってると感じる部分もあって、改めて日本版を見直したくなっちゃった。まぁ、韓国版と日本版見比べてみるのも面白いと思います。
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