菩薩

ふたつの時、ふたりの時間の菩薩のレビュー・感想・評価

ふたつの時、ふたりの時間(2001年製作の映画)
3.8
大胆な『大人は判ってくれない』の引用にジャン=ピエール・レオーのちょい役出演、『緑色の部屋』を思わせる故人の思い出を詰め込み外部からの干渉を遮断した部屋に立て篭もるシャオカンのオカンと蝋燭光源のみの撮影、とツァイ・ミンリャンのトリュフォー好きが溢れている作品なのだろうけど、やってる事はいつも通りの「食う・寝る・出す」の反復と孤独な人間の細やかな息遣いの描写。同じ時を生きる事が出来ない男女を死んだ筈の父親(あのオトンです)が使者(死者だけに)となり繋ぎ止めようとしているのがあのラスト?となれば彼女はあのスーツケースを抱えて台湾に戻りシャオカンに電話をして会いに行くのだろうし、シャオカンのあらゆる時計をパリの時間に合わせようとした努力はきっと報われる。オトンの幽霊が怖くて夜中トイレに行けずビニール袋やペットボトルに小便するシャオカン、映画館でゲイ青年に詰め寄られオークラの危機に陥るシャオカン、オトンの枕を股間に擦り付けて自慰をするオカン、車中泊中の車に娼婦を連れ込みSEXする時のシャオカンの半ケツ、パリでは孤独を埋め合う様に百合未遂が起きるも不発。時計、水車、観覧車、円形のモチーフが度々登場、ちなみに『大人は〜』の引用部分もあの遊園地の遠心力マシーン(と家出、シャオカンも家出する)。リー・カンション、ツァイ・ミンリャン両人の亡き父に捧げられている一作、だそうです。シャオカン、既にタピオカ飲んでる。
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