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ブラック・レコード〜禁じられた記録〜/ヒトラーコード39のokappaのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

エディ・レッドメインが歌うシーンがあるので、ファンの方は一見の価値ありかと。

邦題が謎。Glorious 39はわりとしっくりくるので、原題ままが良かったのでは。

養子ではあるが裕福な家庭で家族と仲良く、良き同僚と恋人もいて、何不自由なく幸福に暮らしていたアンの視点で進むストーリー。

アン目線で、周囲の人の身に起こる事件とだんだん不穏で不気味になっていく家族の様子を眺める作品です。状況が分からないまま動いていく彼女と、秘密裏に火消しと誤魔化しをする家族との追いかけっこな感じ。

超絶穏やかに見えるビル・ナイ演じる父親、エディ・レッドメイン演じる明るくいつも笑顔な弟の2人が物凄く不穏で不気味でいい味出してました。物静かな父親はともかく、終始明るく笑顔な弟はかなりサイコパスみがあって恐ろしかったです。ラストは彼女の視点としたらそれなりに良い終わりかなと思います。

この家族のお話はフィクションですが、時代の状況的に、実際に脅迫や暗殺などありそう。第一次大戦を経験した人々が国の中枢や多くの場合で力を持っていた世代かと思います。彼らの大半は、倫理に反しようともどんな事をしてでも、戦争を回避したかったのでは。作中のアンの父親が、戦争を実体験したその世代。

本人も言っていましたが、アンは本当に政治や世界情勢に興味がなかったのでしょう。だから、家族は彼女には知らせず綺麗なまま幸せに暮らしてくれればと思っていたのではと思いました。それと同時に誤魔化せるくらい鈍感だと認識されてもいた。アン以外の家族からすれば、彼女を恐ろしい事から、必死に守ろうとしていたのだとも考えられます。

もし、父親や弟視点だった場合、かなり異なった印象を与える作品になっただろうなと思いました。
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