かじドゥンドゥン

殺意の夏のかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

殺意の夏(1983年製作の映画)
3.8
戦後間もない頃、夫の留守中によそ者(イタリア人3人)に強姦されたドイツ人女性。そのときに身籠った子が自分であると知っている娘エルは、長らく復讐計画を練ってきた。村中から後ろ指をさされながらも、大胆で色っぽい振る舞いで男たちの気を引き、お目当てのパンポンと結婚したエルは、パンポンら三兄弟の亡き父が、母を犯した男たちの一人だと知っている。残りの二人も見つけ出した彼女は、自分がその二人によって弄ばれたという事実をでっちあげ、それが間接的に夫パンポンに伝わるように仕組む。パンポンがこれを知って激昂し、父の悪友二人を殺害することで、壮大な復讐劇が成就するはず・・・。

しかし、復讐完成の直前で、実は強姦の実行犯が別の二人だったこと、そして、この件について無関心を装ってきたエルの戸籍上の父(妻を犯され、そのときにできた子を我が子として育ててきた男)が実はエルよりも先に犯人を見つけ出し殺害していたことが判明する。この衝撃の真実を知ることで、復讐だけを生き甲斐としてきたエルの精神は破綻する。9歳児に戻ったエルは精神病院へ。その頃、エルが仕込んだ復讐計画はそのままだったため、夫パンポンが虚偽の屈辱を信じ込んで、本来罪のない二人の男を殺害する。

血の呪い、すれ違い・勘違い、真理がもたらす死・・・。ギリシア悲劇的な展開と結末。