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しわの一のレビュー・感想・評価

しわ(2011年製作の映画)
3.7
養護老人ホームで暮らす男を主人公に、家族や老い、友情といったドラマを繰り広げるアニメーション作品

スペインのアカデミー賞と呼ばれる第26回ゴヤ賞で、最優秀アニメーション賞と最優秀脚本賞を受賞した作品でもあります
そして配給は三鷹の森ジブリ美術館

養護老人ホームのリアルを描き、認知症という誰もがなり得る身近で非常に重たいテーマでありながら、時にユーモラスなシニカルさを交えた語り口は絶品で、コミカルで温かみのある手書きのアニメーションと物語の相性も抜群
近しい設定の『ファーザー』と重なるような描写もありました

認知症の人と家族を取り巻く辛く重い課題は、将来の自分を見ているような気持ちにすらなってくる
ラストの「今日の老人、明日の老人、全ての人に捧げる」という言葉通り、この映画を観た老若男女すべての人にこの現実が突きつけられる

人生の果てに辿り着いたような余生が軟禁状態であり、憩いの場でもある養護老人ホーム
苦しいけれど、救いも希望もある前向きな作品でよかったし、悪びれる様子もなく仲間の老人達から金を巻き上げていたミゲルの劇的な変化なんかも思わずグッときてしまう

この残酷で厳しい現実ながらも普遍的なテーマを取り上げ、一つのアニメーション作品として作り上げたこと自体が非常意味持つ作品だと思います

〈 Rotten Tomatoes 🍅93% 🍿80% 〉
〈 IMDb 7.6 / Metascore 81 / Letterboxd 3.8 〉

2021 自宅鑑賞 No.412 GEO
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