Nacht

カルテットのNachtのレビュー・感想・評価

カルテット(1981年製作の映画)
5.0
この監督さんは本当にパッケージが上手い。
ロケーション、スタイリング、音楽、照明で、俳優さん達の演技以外で心情を表現することに長けてるなぁと思う。

パリが舞台なのに、アメリカ人監督の映画なので、全編英語っていうのが残念、というか…ナイトクラブでアルメリア・マックイーンが歌うシーンもかなり素敵なんだけど、いかんせん英語だからか、すごくソウルフルに聞こえてしまった😭

のっけからこんなこと言ってしまったけど、この映画の凄いところは、陰鬱な世界観を美しいものに昇華してるところー
実際こんなことを経験したら、辛過ぎて息苦しいに決まっているんだけど、文芸作品としての品性みたいなのを上手くキープしています(主演の四方、イザベル・アジャー二、マギー・スミス、アラン・ベイツ、アンソニー・ヒギンズ、の顔のおかげもあると思う)。
プロットはありがちだけど、とにかく観ているだけで当時のパリにタイムスリップしたような気持ちになれて心底うっとりできる作品。

舞台は1927年。
フランス人男性の活動人口が9割になってしまった陰惨な第一次世界大戦が終わり10年近く経っているが、貧富の差は開いたまんま。
イギリス人の金持ちアートディーラーが、(旦那が捕まり)寄る辺の無くなった主人公マリアを囲いものにする…(ひどい)

田舎ののんびりした雰囲気とは異なって、
喧騒に包まれている都市部。アールデコ全盛期とあって、キャバレーでは当時の最新ファッションに身を包んだ人達で溢れかえる。
(古い街並みが残るパリだからこそ、100年以上前の話が映画として作り出せるのもすごいことー)

日本版のキービジュアルは合田佐和子さんによるもの。
配給はケーブルホーグ。力入ってるよね。
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