あなぐらむ

宇能鴻一郎の濡れて打つのあなぐらむのレビュー・感想・評価

宇能鴻一郎の濡れて打つ(1984年製作の映画)
3.9
ご存知金子修介監督デビュー作。
「エースをねらえ!」をモチーフにしながら、根性など無縁で男とバンバンやりまくる、山本奈津子の甘ったるいナレーションがこそばゆい痛快作。60分に満たない尺(55分)に様々な絡みを入れ込むサービス精神や良し。

映画化決定時、連載が始まったばかりで話が足りず、設定はテニスしてる女子高生だったもんで「エースをねらえ!」をぶちこんで作ってしまった、という。なんとも軽妙で映画の漫画化(漫画の映画化ではなく)、とでもいうべき好篇に仕上がっている。
脚本の木村智美は森田芳光「ピンクカット 太く愛して深く愛して」や加藤文彦「ロリコンハウス おしめりジュンコ」などを手掛けていて、ファンシーなテイストはこの人の持ち味なのかもしれない。
山本奈津子の部屋もとても可愛くて(ちゃんと猫がいる!)、70年代ロマンポルノとは一線を画している。この辺りの拘りはアイドル映画を撮らせて右に出る者がいない、金子修介の味わい。

お蝶様(お蝶夫人)を演じる林亜理沙がスレンダーで美しく儲けもの。結構ノリノリで演じてくれたらしい(森田芳光「ときめきに死す」で海辺の水着ギャル役の人)。
一方で山本奈津子が、意外にも? 演技重視派で「このシーンはどんな感情で演じたら」等と問い詰められて苦労したって話はおかしい。
宗像コーチにジョージ・ハリスンこと沢田情児。デフォルメされた芝居でこの空間を支える。

つーかさ、今の世の中これだけ上玉な女優が揃ってるんだから、にっかつさんは何故旧作のリメイクをやらんとですかと。「濡れて打つ」とか「イヴちゃんの姫」とか、今やっても全然面白いと思うぞ。