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オンリー・ゴッドのomg!Sのレビュー・感想・評価

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)
5.0
シチュエーションはヘンなので笑ってもよいような気もするが映画のトーンはまったく笑いを狙っておらず、オチもなく、笑ってよい雰囲気ではないので笑えない。映画の暴力には笑いが良く合うけれど、これは笑いのないピュアな暴力。
真の主人公であるところの署長は人智を超えた世界の摂理の具現化のような善でも悪でもない存在で、コーマック・マッカーシーの暴力小説の登場人物のようです。もし「血と暴力の国」のアントン・シュガーが好きなら、きっと署長の圧倒的な(ヘンな、そしてスーパーチートマンな)存在感から目が離せなくなるはずです。

一見ナンセンスですが、そもそも署長は人であって人でなく、主人公が人生で運悪く遭ってしまった災厄で、因果応報とか、何か間違ったことをしたからこんな目にあったとかそんな話ではなく、そしてそんな巨大な運命の前では俗人の悪を煮詰めたクソのような、母親(それまで主人公にとっては絶対的な存在だった)なんかちんけな塵なのです。
災厄は善悪かまわずぶった切り、そのあとでカラオケを歌ってるかもしれない、そんな話でした。
原題はonly god forgives、運命の前では何人たりとも許しなど与えられない。
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