マリオン

オンリー・ゴッドのマリオンのレビュー・感想・評価

オンリー・ゴッド(2013年製作の映画)
3.0
ニコラス・ウィンディング・レフンとライアン・ゴズリングが再びタッグを組んだ最新作。清々しいほどに意味が分からない、だがこの世界観に完全に酔ってしまうというドラッグムービー。バイオレンス、説明もほとんどなし、ただ歩くだけのロングショット、夢と現実のシーンを行ったり来たりで話の大筋は理解できても「あのシーンの意味は何?」と尋ねられても正直説明に困る映画だ。

まずライアン・ゴズリングと聞いてドライヴのようなかっこいい彼が見れると思ったら大間違い。とにかく彼は寡黙でただひたすらに耐え、復讐の連鎖に組み込まれる男で残念ながらかっこよくないしボコボコにされる。彼よりも強烈な存在が物語を動かす。

ライアン・ゴズリング演じるジュリアンの兄が起こした少女殺人事件を発端とする復讐劇を繰り広げる二人の登場人物、この二人が相当な曲者だ。一人は元警官でタイの裏社会を牛耳るチャンでどんな相手でも刀で一刀両断してしまう復讐の神(カラオケおじさん)、もう一人がジュリアンの母で弟である彼をとことん蔑むゲスな母親だ。この二人のインパクトに度胆を抜かれた。チャンは歩き姿だけで恐ろしいのにカラオケ熱唱シーンという謎のサービスシーンが存在したり、母親のジュリアンに対する無礼さは天下一品だ。

そんな復讐劇を彩るサイケデリックなネオンに彩られたタイのアジアンテイストが美しい。そこにバイオレンスがまた映える。そしてクリフ・マルティネスのスコアが痺れるのだ。物語にさっぱりでもこの世界観の作りこみはさすがだなと言わざるを得ない。

だがニコラス・ウィンディング・レフンがこの映画に込めたものを全然理解することができなかった。先鋭的すぎるというべきか自分の読解力のなさを痛感したというべきか。なんとなく復讐の連鎖における何かを読む話だとは思った。

ここまで観客のことを考えずに自分のこだわりをぶちまけられたらぐうの音も出ない。たぶんこのレビューはいつか書き直すと思う。
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