イチロヲ

変態家族 兄貴の嫁さんのイチロヲのレビュー・感想・評価

変態家族 兄貴の嫁さん(1984年製作の映画)
4.0
母を亡くして以来、無気力な日常生活を送っている家族が、同居することになった長男の若妻(風かおる)に感化されていく。小津安二郎のスタイルを強引に模倣している、国映のピンク映画。周防正行の監督デビュー作。

「小津調をピンク映画に取り入れる」という実験をおこなっている作品。バストアップを重視した構図、紙芝居のようなカット割り、抑揚のないロボット演技、人生訓を説きたがる会話劇を意図的に多用している。

笠智衆調の芝居を淡々と続けていく父(大杉漣)と、自己の性に貪欲な長男(下元史朗)の対比。そして、トルコ風呂に舞台を移しても、決して崩れることのない小津スタイルが抱腹絶倒。

主演女優・風かおるの、童顔とロケットおっぱいの「アンバランスの美」もまた眩惑的であり、ヒロインの説得力が倍増しになっている。下半身集中型の小津作品を拵えることに成功している、珍品中の珍品。
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