ひろぱげ

白蛇抄のひろぱげのレビュー・感想・評価

白蛇抄(1983年製作の映画)
3.0
舞台は若狭の山寺。数年前、近所の滝に身投げした謎の女(小柳ルミ子)が、和尚(若山富三郎)によって助けられ寺に身を寄せるようになった。そこに彼女の遠縁にあたる少女(仙道敦子)がやってきて、和尚の高校生の息子(杉本哲太)共々一緒に暮らし始めるのだが、深夜、少女は別の部屋から「ポルノかよ!」と思う程の女の喘ぎ声がするのを聞いて眠れなくなる・・・。

まあ、とにかくルミ子のセックスアピールが鬼盛り!
若富は半身不随になってもなお毎晩ルミ子へのクンニに精を出すし、哲太は若く燃えたぎる性欲を読経なんかで誤魔化しきれずにルミ子のブラやパンティの匂いを嗅いでジーパンに染みを作ったりするし(ちなみにこの染みは精液なのかそれともカウパー氏腺液なのか見解が分かれるところだが、個人的には射精本番の前につい漏れてしまった白色サラサラの液体「精漿」なのでは無いかと思う)、さらには強引でギラギラした刑事(夏八木勲)がルミ子の体を執拗に狙うし。こんな所で暮らしている女子中学生の仙道敦子は堪ったもんじゃない・・・。

そして、ルミ子の虜になっていった男達の人生がみんな狂っていく。哲太は狂いすぎたのか、やりたくてやりたくて震えた挙げ句、チンコで総本山の障子に穴を開けまくるという奇行に及ぶ始末。。。

ま、ルミ子自身も不幸な生い立ちなのだった。
何をやってもうまくいかない。そして、情が強すぎる。魔性というより「さげまん」の極致なのかもしれない。
その湿度高めの情念の物語が、上手く映像化されていると思う。(最終盤がちょっとしつこいけどな)
びしょ濡れのルミ子の多用!!

同じ水上勉原作のお寺ものでは川島雄三の「雁の寺」があるが、エロ親父の和尚と女盛りの美人妻+若い僧侶という組み合わせは同じでも、作劇や演出が全く違っていって面白い。(「雁の寺」は、おもしろうてやがて悲しき人間の業をドライに描いている。)

今作の監督、伊藤俊也は福井出身。(地域は違うが)福井を舞台にした郷土の作家原作の映画化には意欲を燃やしたに違い無い。
伊藤俊也といえば、梶芽衣子主演で70年代に強烈な異彩を放った「女囚さそり」シリーズが有名だが、80年代には「誘拐報道」「はないちもんめ」などの社会派ドラマ、その後は「風の又三郎 ガラスのマント」やアニメ「ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス」、東条英機を主人公とした「プライド・運命の瞬間」など堅実な仕事を残している名匠である。
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