みかんぼうや

ウォールフラワーのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

ウォールフラワー(2012年製作の映画)
3.9
なんとも甘くて青臭い!が、その甘さと青臭さが最高に気持ちいい!そして、ただ青臭いだけではなく、それぞれの登場人物たちが抱えるトラウマとコンプレックス。それが決して闇として重くのしかかるだけでなく、青春時代の脆さと危うさとなって、作品全体の甘さや青臭さを装飾するアクセントとしてしっかり調和がとれているのがまた良い。

高校で友達ができず過去の出来事からトラウマを抱え幻覚を見る内向的なチャーリー。外向的で冗談で場を明るくするのが大好きだがある秘密を抱えるパトリック。そして、同じく自身の過去に負い目を感じるエマ・ワトソン演じる主人公の憧れの美少女サム。物語が描くのは、この3人の出会いからの1年を描く。

何か怒涛の急展開が起こるわけではないが、この主人公3人のキャラクターと徐々に育まれていく3人の関係性がなんとも魅力的。時に起こる仲間たちの中で起こる軋轢まで全てが青春であり、彼らの成長の過程。それを温かく見守りたい親心的な気持ちと、自らの青春時代の恋や脆さを重ね合わせる気持ちが織りなす、なんとも言えぬ淡く切なく、しかし前向きな感覚に浸れる作品だった。

素敵な作品だったので、観終わった後に監督をチェックしたところビックリ。なんとフィルマ超高評価ながら私がとても苦手な「ワンダー~君は太陽~」と同じ監督!作品の雰囲気や演出など、そこまで共通性を感じる部分がなかったもので(「ワンダー」は個人的にファンタジー作品だと思っているので)。鑑賞前に監督を調べずバイアスを持たなかったのはかえって良かったかも。そして、本作を通じて、この監督の他の作品が一気に気になり始めた。

本作をお薦めいただいたのんchanさん、ありがとうございました!
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