アナ

ウォールフラワーのアナのレビュー・感想・評価

ウォールフラワー(2012年製作の映画)
4.3
これは...かなり好きな作品だ。

静かで派手ではないけれども、鮮やかな青春群像劇。懐かしいあの頃の記憶や香り。

一見華やかでミステリアスな兄弟二人も、どこか心のかたちにいびつさがあって、それを主人公に見出したのかもしれない。それが時間をかけてゆるやかに友情や恋愛感情に変化する。

ヒロインのことを大好きだけどガツンといけない主人公と、主人公を待ってるヒロイン。大好きで愛してるっていうのは、どんな形であれ相手に幸せであってほしいと望むことなのかもしれないけど

「人の人生を優先して愛と呼ぶなんておかしい」

というサムのセリフにはくぁーっときました。たしかにそうだよね。
人生には複雑なことが多いから、全てが望み通りに叶わないけれど、高校生ならではのあどけなくてストレートな言葉は、真っ直ぐ入ってくるパンチ。これこそ女性が相手に求める率直な想いなのかもしれない。


「なぜ私やわたしの愛する人たちはひどい扱いをする人を選ぶの?」
とかも、そうだよなぁ...と、なんだかわかるようなわかるような気持ちになったり。

本作でとっておきに魅力的なのはエズラミラー演じるパトリック。
お茶目で危うい魅力を持った彼は、一見やばそうなキャラクターかと思いきや、なんともまともで愛に溢れた人。こういう人たまにいるよねってところを絶妙に表してくる。

トンネルからの夜景や夜の公園など、
主人公たちの抱える生きづらさとは対極に、解放的な物語の空気感。
心は複雑だけど、自由でいられるのは今しかないかけがえのない時間というのは、学生時代に抱いた感覚。

「ワンダー」のチョボスキー監督作品とのことで感心もったけど、この監督、人の感情の繊細な部分を描くの得意なのかな。みやすくて馴染みやすい。
アナ

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