なまくらウォッチメン

裁きは終りぬのなまくらウォッチメンのレビュー・感想・評価

裁きは終りぬ(1950年製作の映画)
4.3
面白い
安楽死を幇助した女性を裁く裁判を、各陪審員の視点から描く群像劇
人を裁く裁量を持った人間に理性と公平性が求められることを描くのは『十二人の怒れる男』と同じだが、こちらは徹底的にシニカル
最後に陪審員制度事体へ疑いを投げかける辺りも決定的に違うところか

法廷劇にしては珍しく裁判シーンは少なく(20分あるかないか)、劇中の殆どは陪審員の日常生活に充てられ、そこで各々価値観や人生観、それらを通した上での事件と被告に対する態度への温度差を描く辺りが面白い
陪審員制度への懐疑的な姿勢は、元弁護士の監督ならではの見方か

個人的には『十二人の怒れる男』が真面目すぎる作りだなと思うので、今作の皮肉たっぷりでブラックなユーモアがある作りの方が好きだな
シドニー・ルメット作品にはこういう笑いが少ない