前方後円墳

ガーゴイルの前方後円墳のレビュー・感想・評価

ガーゴイル(2001年製作の映画)
1.0
実験で奇病に取りつかれ化け物になってしまった男と女の物語。
一見、ホラーのようではあるが、とにかく台詞を極力排除し、登場人物の心の機微を表情で語らせるなど、その表現力とヒューマン・ドラマが印象的な作品になっている。
シェーン(ヴィンセント・ギャロ)は性行為に及ぶと人を殺してしまうので、結婚した奥さん、ジューン(トリシア・ヴェッセイ)には何もしない。が、性欲はあるので他の人と行為に及んで殺してしまう。医者のレオ(アレックス・デスカス)の妻、コラ(ベアトリス・ダル)も同じ病気なので監禁しているが、いくらでも脱走できる道具があるので、脱走してはそこらじゅうの男を殺しているという、物語の設定自体はちょっとお粗末な感じがする。そして、あまりの説明不足、意味があるのかないのかわからないフラッシュバック。全編通して納得のいくようなものはないのだが、語られているのは少々風変わりなラブストーリーだと理解するしかない。主要登場人物4人のそれぞれの想いを冷たく、官能的に。そして哀しく、静かに描いているのだ。
ベアトリス・ダルは相変わらずの怪演ぶりで、描かれている内容の恐ろしさよりも、それを演じることができる恐ろしさのほうが強い。