エンゲージリング

利休にたずねよのエンゲージリングのレビュー・感想・評価

利休にたずねよ(2013年製作の映画)
3.6
何気ない景色のなかから、究極の美に昇華させていこうとする。
それが利休の生き方であり求めるものなんでしょうねー
普通はそんな考察とか感想が出るのでしょう

映画は利休の妻が、
『最後に私がお尋ねしたかったのは・・』
の言葉で終わっています。

この後に続く言葉は何だろうとかんがえました。
私は『本当に私で良かったのかしら?』ではないかと思います。

利休のことを最もよく理解し、最後を見届けた妻・宗恩。
彼女はそれだけに利休の心のなかに残る高麗の女性の事を強く感じ取っていたのだとおもいます。

その思いが映像においても、利休が生涯大事にした香合を打ち捨てようとしたとこに現れていて、でも利休が大事にしたものだから、理解者として愛するものとして打ち捨てられないと表現されてましたよねー

それに対して利休は
『お前で良かった。お前が良かった』
という回答だとおもいます。
利休は高麗の女性を愛し、その女性に生きてと言われたから、生き続けてきました。
でも、それとは別に自分のことを愛して理解してくれる宗恩のことも深く愛して宗恩とともにいたから、いまの自分があると思っていたのではないでしょうか?
ちょうど、この会話は、利休が宗恩と結婚する時の会話でもありますよね

利休は美を求める訳ですが、ひとりではなく共有する人を常に求めているように感じます。
ですので、最後の秀吉の言葉は深く思うとこがあります。
秀吉はこれでもうわしをもてなす事ができなくなってあの世で地団駄ふんで後悔していると語りましたが、利休はもてなすとかそういう事を求めているのではないと、美を追求し、共に共感しようとしていることに秀吉はわかってないと思います。
でも、そんな秀吉も言葉を放ちながら、笑いながら、声が泣き声であったように感じます。結局、秀吉は天下は取れても利休の美を共感する資格はじぶんにはなかったのではと解っていたように感じ、あえて強気な言葉を発したように思います