ゴトウ

スチャダラパーの悪夢のゴトウのレビュー・感想・評価

スチャダラパーの悪夢(2009年製作の映画)
3.0
ドキュメンタリー仕立てのコント+ライブ映像みたいな感じでしょうか。ゴリゴリにスター的な世界観を固めてるわけでもなければ、サグとも程遠い、「普段着でそのまま出てきてステージ終わったら帰ります」みたいな人のほうが自己言及が恥ずかしかったりするんだろうか。

実際ステージ裏にあることはあんまり見せたくないけど、代わりに今まで見てきた「業界の人」みたいなのをキャラクターとして演じて見せてるのかなと思った。エコに凝りだす人、スピリチュアル(というか宗教というか)に依存しだす人、酒浸りになる人…。酒浸りは華々しい世界の裏では…につきもののやつだけど、グレタトゥーンベリやローラが(その主張の是非は置いといて)やいやい言われ出す以前、生ゴミ先生と能年玲奈や清水富美加a.k.a.千眼美子の騒動以前の2009年にこんなネタやってるあたり、表面化してないだけでずーっとそういう人たちはいたんだろうな。逆に言えば、そういう方向にフラフラ行くことなく良く頑張ったよねスチャダラパーは、という意味でひねくれドキュメンタリーなのかもしれない。「こうはならなかった」を見せることで「今こんな風です」を伝えているというか。

と最大限贔屓目に言うとそうなんだけど、60点くらいのボケを真顔で出し続けてくる感じを2時間以上は正直ちょっと飽きるな。合間に挟まるライブ映像とコント部分があんまり噛み合ってないようにも思えてしまう。コント部分だけをもう少しコンパクトにまとめてくれるか、ライブ映像だけまとめてくれるかの方が良かった気もする。「『ブギーバック』しか聞いてない監督が明らかにルーキーズ調の(もしくはそれに類する明らかにクソそうな)映画の主題歌をブギーバックみたいな感じで…と頼んでくる」みたいなんも業界にいる人なんでしょうけど、こんな良くも悪くも舐めた感じで、というか「まともなドキュメンタリーなんか撮りたくないです」みたいなスカした感じで来られてるから、どっちもどっちだよ!と思ってしまったな。「いや〜クソでしょ?わざとなんすよ!ウケるでしょ?」みたいなの、最後にGReeeeN流して感動〜と同じくらい寒いと思う。方向は違えど。長いキャリアと既に確固とした立ち位置を確保してる人たちは、60点のボケ方してもファンと後輩が80点のボケに対してのリアクションで返しちゃうから危ないよ。

スチャダラパーが一番好きなグループなら手放しで楽しいかも。どこまでが大根仁のセンスでどこまでがスチャダラパーのセンスなのかわからないけど、震災以前、SNSがここまで浸透する以前にあったのどかなサブカル世界の映画だなと思いました。まだそこにいられる人は多くないからな…。今観ると素直に受け取れない部分もたくさんある。やいやい言われても環境問題について考えてる方がえらくないですか?さらに時代との溝が深くなってるであろうコロナの世の中で、これを無料公開っていうのもわざとやってんのかなぁ。

大犯罪者ことピエール瀧と、大犯罪者にしか見えないけど何もやってないリリーフランキーも出てきた。
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