半兵衛

色情姉妹の半兵衛のレビュー・感想・評価

色情姉妹(1972年製作の映画)
4.0
どうしようもない血の宿命から脱け出そうとしても脱け出せない姉妹の話だが、ドライな曽根監督らしくそんな世界に住んでいる登場人物を主人公も含めて一切優しく描かず地獄の亡者のように救いようのない者として容赦なく描写しているので鑑賞している間ひたすら心が沈んでいく気分に。特に普通の映画だったら癒しとか希望とかの象徴にしがちな障害者(発達障がいの益富信孝)を、ヒロインの心を救うことなくむしろ行き詰まりな状況を深めるキャラクターにしているのがやるせなくなる。

曽根監督は冒頭においての駅でのホームや海と海岸、ヒロインが義父に犯される場面でそれを階段越しに母親が覗く場面など段差を巧みに使うことで目の前に上の世界が見えているのに下で這いつくばって生きる状況を見事に表現している。あと度々出てくる覗いているアングルもどん詰まりな状況を更に深めていく。

極めつけはラストの主人公姉妹への集団暴行、直接の行為を映さずに歪むヒロインの顔、犯す男の不気味さ、トラックの上での人の動きでどんな暴行シーンよりも醜悪な場面に仕上げており圧巻。

スケ番をしている主人公の妹が敵対しているスケ番グループをトイレで暴行する場面で、なぜか突然『俺にさわると危ないぜ』の主題歌のイントロが流れてきてびっくり。ハデな曲調とどん詰まりな状況とのギャップを狙ったのか?
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