ウエストレイク

静かなる叫びのウエストレイクのレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
4.5
モノクロで混じり合う黒い血が恐ろしく美しい


大好きな『灼熱の魂』『プリズナーズ』のドゥニ・ヴィルヌーブ監督の初期の作品。
カナダのアカデミー賞と言われるジニー賞で、なんと9部門も受賞しているそうだ。

1989年にモントリオール理工科大学で実際に起きた銃乱射事件を題材とした作品だが、登場人物は架空とされている。 


「犯人」「一人の女子生徒」「一人の男子生徒」の目線で展開されます。



「人生を破滅させたフェミニストをあの世に送る」
フェミニズムに強い不満を持つ男が女性を次々と銃殺していく。


80分程の短めの作品ですが、悲惨な現場を体験するかの様なリアルな感覚に浸れる。

ただ惨殺していく様子を観るスリラー映画ではなく、数あるシーンに「女性差別」「女性蔑視」問題が巧みに描写されてます。

怪我を負った女性が回復し、やがて妊娠という流れもハッピーかもしれない。
しかし妊娠によってキャリアを断たれる彼女にとってはハッピーと言えるのだろうか。


事件が被害者達に与えた”見えない傷”に苦しむ人の末路も悲惨です。




講義中
「外部の干渉が無い独立型は秩序が不可逆的に失われていき やがて崩壊する」
のところで教室に入ってくる犯人のシーンはまるで自己紹介の様で巧い演出でした。

監督のセンスの良さを改めて感じます
ウエストレイク

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