ゆのは

静かなる叫びのゆのはのレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
4.0
モントリオール理工科大学
で実際に起きた虐殺事件を
基に描いたヒューマンドラマ。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品
って重くて暗いものが多いけど、
それ以上に深い内容で
見応えのあるものが多い。

時々ドキュメンタリー映画
のようなタッチで
社会問題やその他諸問題を
描いた作品を見かけるけど、
彼の作品はどれも
ドラマ的な要素が強いながら、
社会派として
しっかりと問題を言及し、
観客にそれを訴えかけている。
だからこそ、強く印象に残り
鑑賞後の余韻も長く続くのだと思う。

社会派とは異なり、
監督ではない別の人が
脚本を手掛けた
「メッセージ」や
「複製された男」も然り。
映像も何もかも
圧倒的なインパクトを残す。

音響にそれなりの
統一感はあれど、
全作品において
これと決まった演出は
施されていないにもかかわらず、
彼の作品ならではの
独自性を持つところもお見事。

モノクロ映像で
複数人の視点から
物語が展開するこの作品も、
いつもと異なる手法で描きながら
監督の個性が
しっかり出ていたと思う。

さて、内容については、
極端で差別的な
思想に染まった犯人が
引き起こした
非常に残忍な事件に対して、
女性として学生として人間として
かなりショックを受けた。

事件で亡くなった人は
もちろんのこと、
生き残った人が負った
癒えることのない心の傷
を思っても
何とも辛くて仕方がない。

さらには、近年もなお
似たような銃撃事件、
虐殺事件が世界や
平和と言われている日本ですら
起きていることが誠に遺憾である。

世界に本当の平和が
訪れる日はいつ来るのだろうか。
ゆのは

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