OASIS

エンド・オブ・ウォッチのOASISのレビュー・感想・評価

エンド・オブ・ウォッチ(2012年製作の映画)
4.2
世界随一の犯罪地帯をパトロールする警察官コンビを描く。
「トレーニング・デイ」「フェイク・シティ」の脚本家デヴィッド・エアー監督。

LA警察24時!というドキュメンタリーを見ているような感覚。
テイラー(ジェイク・ギレンホール)とザヴァラ(マイケル・ペーニャ)は性格も人種も違うが兄弟のような関係のコンビ。
サングラスのかけ方だって裏表。
二人はこの関係を築く為に実際に5ヶ月間にわたって一緒に過ごし役作りをした。
舞台はデヴィッド・エアー監督自身も育ったという、LAの犯罪多発地域、サウス・セントラル。
POVには近いが、実際は主人公が持つハンディカメラや防犯カメラ等の映像を使用してリアルさを増している。

物語は、二人がいつものようにパトロールしていると、次々に事件が起こり、そこで恨みを買ったメキシコ系の麻薬カルテルにつけ狙われる羽目になるという話。
終盤まではほぼ話は進まないが。

二人の日常会話がほのぼのと交わされているかと思いきや、通報が入ると一変。
一気に緊迫感の坩堝と化して現場の最前線に放り込まれてしまうという緩急の落差が見せ場。
現場に到着した瞬間にそこは正に戦場となってノンストップで突入し強行捜査に。
しかもそこで起きる犯罪は生ぬるいものではなくどれもが濃度が濃いものばかりで、人身売買や麻薬は当たり前、その上生首まで転がっているというショッキングな現場が続出。

日常部分が緩い流れなので、「早く次の事件が起こってくれ!」と観客もいつの間にか犯罪が起きればいいのにと期待してしまっている所が怖い所だと思う。
警官だってバッジを脱ぎ捨てれば一般市民へと戻るわけで、彼らにだって休息は必要であるのに事件よ起きろ、とは酷な話。

ザヴァラには8年も付き合い妊娠中の彼女がいるが、テイラーは遊んでばかり。
テイラーには彼女(アナ・ケンドリック)が出来、ザヴァラにも子供が生まれる。
テイラーがそろそろ腰を落ち着けようかと思う頃、彼女が妊娠。
喜びを分かち合うコンビだが、その瞬間にも組織の魔の手が狙っていて、この後どうなるか・・というのが終盤。
散々と死亡フラグを撒き散らす二人だが、二人とも死ぬのか、一人でも生きるか、そしてどちらが生きるのか、というのがラストの大きなキモになっている。

タイトルにもなっている「エンド・オブ・ウォッチ」
その日の業務の終了時に押すタイムカードのような意味と、もうその後は業務に戻る事が出来ない(=殉職)を示している、というのが結末を暗示している。
この結末は、男泣かせの友情がなかなか胸に迫るものがあるが、かなり後味は悪い。
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