すず

ガーデンのすずのネタバレレビュー・内容・結末

ガーデン(1995年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

スロバキアの夏の田園風景。鳥のさえずり、風が抜ける木々の揺らめき、虫が飛ぶ羽音。自然に身を委ね、時折、示唆的に流れる一つの優しい音楽。お爺さんが遺した庭で起こる、聖書をモチーフにしたような不思議な物語は、温かく時に滑稽なヒューマンドラマ。生身の人間のみで織りなすファンタジックな世界観は、想うファンタジーの裾野が広がった。ゆるやかな夏の午後に酒でも飲みながら眺めていたい雰囲気で、さすれば蝉の声すら作品に溶け込むだろう。監督独自の美意識と哲学が詰まった詩的な言葉と映像。生命おどる夏から秋、そして冬へ。突如として父親を主体にブルーな色彩を帯びるラストにどのようなメッセージを受け取るべきなのか。反芻する類の映画。青空柄の車で親子旅する章は映画的な魔法があった。
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