マルケス

もうひとりの息子のマルケスのレビュー・感想・評価

もうひとりの息子(2012年製作の映画)
4.0
「乳児の取り違えが18年後に発覚、二つの家族はどうするのか?」粗すじはとても簡単なのに、この家族の背景は何千ページも要するほど超ややこしい。

なにしろ、イスラエル人とパレスチナ人なのだ。紀元前まで遡り、バビロン捕囚やら出エジプトやら第二次大戦やら中東戦争やらの長い歴史をなぞって、ようやく理解できるかな?というほどもつれ合った二つの民族。

ヨセフとラビの会話に考えさせられた。ヨセフは生まれてからずっとユダヤ人として生きてきたのに、実母が違うとわかった瞬間に否定されてしまう。なんて酷な話だ。個人的にはどうしても宗教の狭量さ、欺瞞、矛盾を感じるシーンだった。

映画は彼らの明確な決断を示さないが、もう一人息子が増えて、親戚が増えた、そんな受け止め方をするだろうと思わせた。
戦争は決して無くならないという諦めもあるけど、こんな良作が作られることに未来を託したい。
マルケス

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